2014年2月14日金曜日

11「精神が、魂も空に上っていくとするならば、もうあの街に届いているかも。」

 愛し合う。満たされないから満たそうとして、足りないから補おうとする。私とユラはそんな感じだった。この街の人間は形式はどうあれ全員が親無しだ。世界と自分を分ける境界は体の一番外側?皮膚??もしくは自分の視界や意識、概念が及ぶ範囲なのか分からない。ただ寄り添うことで、混ざり合うことはなくても、【略】、それらを感じることで世界に対する自分の領域を増やせる……そんな風に本能が感じているのかもしれない。

 愛し合う。心と体の境界が溶けるような。【略】、ただただ優しい。熱と熱が混ざり合い総量が増え、その一部を放射しながら、私とユーラは【略】続ける。精神が、魂も空に上っていくとするならば、もうあの街に届いているかも。天使様達の住む街は光に溢れ、爽やかで、健やかで、清潔で。七色の天蓋でこの不浄なる世界から隔たれている。その世界へ私達も……向かっているというイシだけで、心が満たされ溢れてくる。


 私は死んで、ユラだけがあの街に行くかも知れない。選別の内容はユラには伝えられなかった。それがラブ・レターとなるか、遺書となるか。分からないけど、私は手紙を……というには短いけど、手紙のようなモノを書くことにした。

『愛してる。次は空の上で合おう。Tugu。』

 ちょっと気取り過ぎかな?と思ったけど、アイドル風のサインは良く書けたと思う。これを読んだらユラのヤツ……オレのことを惚れ直すかな?

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