その後は、ナシのつぶてだった。いつも何かワケの分からないことをまくし立てられるように早口めに言われて、オレが情けない一言を言わされて終了するパターンが非常に多い。
「……タネはないけどさ。」
それを言っちゃあおしめえよ!と言い返したいけど、実際、どうしようもないから言い返せない。元々私達は、この街の人間は、【略】。だったら結婚して子どもを貰ったらいいじゃん。愛する愛さないってのは血の繋がりとかじゃないでしょ!っと言いたくなるけど……まだユラには言ったことない。ただ、言い返せないけど自分の気持ちの中で確実に分かるのは……。
「じゃあさ、これだけは分かってよ。結婚とか、子どもとか、言っているのは……一緒になりたいんだ。つまり、愛してる、愛してるんだ。」
ユラが好きだったらそれで、それだけで良いのかも知れない。だけど一緒にいるだけじゃあ足りなくて。子どもをダシに使っているみたいだけど、よく分からないけど……私のこういう気持ちって、ちゃんとユラに伝わっているのかな?時々不安になる。
面白【略】。マジでユラが死ぬんじゃないか?と思った。ユラは窓の外を眺めている。気分はユーラ、ユラって感じかな。なんちゃって。私は夢うつつにボンヤリと考えていた。区役所で会った男は何だったんだろう。また店に来るって言ってたっけ。
ユラが短く息をするのが聞こえる。何か思い悩んでいる?そんな風に思うと、【略】替えの電池はどこにしまったっけ?どこだったかなぁ……。窓の外の7本のエスカレーターのうちの1本も【略】。
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- 11「精神が、魂も空に上っていくとするならば、もうあの街に届いているかも。」
- 10「捨てたモノの中に宝物が混じっているように、この街の人間にもチャンスが残されている。」
- 9「 私達の心には闇がある。」
- 8「一度は否定しても、胸の中に湧き上がってくる感情が、その否定を否定する。」
- 7「同じく肉は食べられないヤツでも、今度は普通のベジタリアンが現れた。」
- 6「愛する愛さないってのは血の繋がりとかじゃないでしょ!」
- 5「空を見上げるとあの街の明かりも消えていた。」
- 4「区役所についた時は夜の礼拝の時間だったみたいで、その場にいる人らは皆して床にひざまずいていた。」
- 3「ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。」
- 2「今日は給料日。久しぶりに楽しいことをしに行こうかなっと足取りも軽い。」
- 1「天使様達がこの世界を変えようと宇宙で闘われたらしい。」
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