2014年2月14日金曜日

6「愛する愛さないってのは血の繋がりとかじゃないでしょ!」

 その後は、ナシのつぶてだった。いつも何かワケの分からないことをまくし立てられるように早口めに言われて、オレが情けない一言を言わされて終了するパターンが非常に多い。

「……タネはないけどさ。」

 それを言っちゃあおしめえよ!と言い返したいけど、実際、どうしようもないから言い返せない。元々私達は、この街の人間は、【略】。だったら結婚して子どもを貰ったらいいじゃん。愛する愛さないってのは血の繋がりとかじゃないでしょ!っと言いたくなるけど……まだユラには言ったことない。ただ、言い返せないけど自分の気持ちの中で確実に分かるのは……。

「じゃあさ、これだけは分かってよ。結婚とか、子どもとか、言っているのは……一緒になりたいんだ。つまり、愛してる、愛してるんだ。」

 ユラが好きだったらそれで、それだけで良いのかも知れない。だけど一緒にいるだけじゃあ足りなくて。子どもをダシに使っているみたいだけど、よく分からないけど……私のこういう気持ちって、ちゃんとユラに伝わっているのかな?時々不安になる。


 面白【略】。マジでユラが死ぬんじゃないか?と思った。ユラは窓の外を眺めている。気分はユーラ、ユラって感じかな。なんちゃって。私は夢うつつにボンヤリと考えていた。区役所で会った男は何だったんだろう。また店に来るって言ってたっけ。

 ユラが短く息をするのが聞こえる。何か思い悩んでいる?そんな風に思うと、【略】替えの電池はどこにしまったっけ?どこだったかなぁ……。窓の外の7本のエスカレーターのうちの1本も【略】。

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