2.
ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。アメニティなんかもキレイだが、ほんの三、四十分前には【略】する。
「で、今日はどうなさいますぅ?」
【略】
「あれ?そうだっけ?」
「……先月ね。事件があってね。殺されちゃったの。」
じゃあ、店に入る時にボディチェックでもしろよ!と思ったけど、パンクな店長はズボラらしい。
「あ、そう。じゃあ普通のコースでお願いしまーす。」
「ハイ、ハーイ。」
「『はい』は一回でよろしい。」
「は~い。ご主人様ぁ。」
ユラはオレの体と自分の体を【略】私も、【略】……。
「何か今、失礼なこと考えてない?」
「いや、全然!【略】」
……不味い、声が高くなった。いかんいかん。こういう時はどうしてもね。開放感というか。【略】。恋人のどこが好き?全部好き?全部ってならどこまで?【略】。皮の下の骨も内臓も筋肉も【略】も全部?そんなふざけたQ&Aもあるけど、この世界において男と女、男と男、女と女、自分と他人……全てが無意味?【略】。だとしたらなお心が好きなのか?【略】。ただ、今まで出会った男どもはロクでなし【略】……というのもあるけれど、それでもそれが何の意味があるのか……。
「どうしたの?考え事?ボーっとしてるよ?」
「ん。ちょっとね。」
ふと我に返り、【略】。
「ちょ、ちょちょ、急に、強い……。」
そうそう。ユラのこの泣きそうな顔。これは、たまらなく好きだな。【略】。ブザーっとブザーがなる。タイムリミット。
「はーい。終了でーす。」
【略】
「あ、そう。」
ユラに促されて店を出る。ホコホコと体は暖かくなったが、街の様子は変わらず陰気臭かった。ネオンがチカチカしていて、酔っ払いやらゴロツキがフラフラと歩いていた。明日はどっちだ?お前達よ。なんつって。
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- 11「精神が、魂も空に上っていくとするならば、もうあの街に届いているかも。」
- 10「捨てたモノの中に宝物が混じっているように、この街の人間にもチャンスが残されている。」
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- 8「一度は否定しても、胸の中に湧き上がってくる感情が、その否定を否定する。」
- 7「同じく肉は食べられないヤツでも、今度は普通のベジタリアンが現れた。」
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- 5「空を見上げるとあの街の明かりも消えていた。」
- 4「区役所についた時は夜の礼拝の時間だったみたいで、その場にいる人らは皆して床にひざまずいていた。」
- 3「ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。」
- 2「今日は給料日。久しぶりに楽しいことをしに行こうかなっと足取りも軽い。」
- 1「天使様達がこの世界を変えようと宇宙で闘われたらしい。」
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