2014年2月14日金曜日

3「ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。」

 2.

 ユラはオレを三畳にも満たない部屋に招き入れた。アメニティなんかもキレイだが、ほんの三、四十分前には【略】する。

「で、今日はどうなさいますぅ?」
【略】
「あれ?そうだっけ?」
「……先月ね。事件があってね。殺されちゃったの。」

 じゃあ、店に入る時にボディチェックでもしろよ!と思ったけど、パンクな店長はズボラらしい。

「あ、そう。じゃあ普通のコースでお願いしまーす。」
「ハイ、ハーイ。」
「『はい』は一回でよろしい。」
「は~い。ご主人様ぁ。」

 ユラはオレの体と自分の体を【略】私も、【略】……。

「何か今、失礼なこと考えてない?」
「いや、全然!【略】」

 ……不味い、声が高くなった。いかんいかん。こういう時はどうしてもね。開放感というか。【略】。恋人のどこが好き?全部好き?全部ってならどこまで?【略】。皮の下の骨も内臓も筋肉も【略】も全部?そんなふざけたQ&Aもあるけど、この世界において男と女、男と男、女と女、自分と他人……全てが無意味?【略】。だとしたらなお心が好きなのか?【略】。ただ、今まで出会った男どもはロクでなし【略】……というのもあるけれど、それでもそれが何の意味があるのか……。

「どうしたの?考え事?ボーっとしてるよ?」
「ん。ちょっとね。」

 ふと我に返り、【略】。

「ちょ、ちょちょ、急に、強い……。」

 そうそう。ユラのこの泣きそうな顔。これは、たまらなく好きだな。【略】。ブザーっとブザーがなる。タイムリミット。

「はーい。終了でーす。」
【略】
「あ、そう。」

 ユラに促されて店を出る。ホコホコと体は暖かくなったが、街の様子は変わらず陰気臭かった。ネオンがチカチカしていて、酔っ払いやらゴロツキがフラフラと歩いていた。明日はどっちだ?お前達よ。なんつって。

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